中華料理を材料から注文しよう!
メニューからではなく、店が今日仕入れた材料を見ながら注文するというのは、ヨーロッパの下町などでよく見かけるタイプのレストランですが、やはりここ中国にも同じように材料から料理を注文するレストラン(もちろん中華料理屋)があります。
慣れないうちは戸惑うかもしれませんが、なんと言っても自分で選んだ材料と指定した調理法によって作られる料理なのですから、食卓の支配者は完全にあなたです。
もちろんグルメな友人を連れてきたときには選んだ料理のセンスはもちろんのこと、あなたが連れてきた店がどんな材料を準備しているのかまで厳しくチェックされますから、上級者向けとも言えるでしょう。
しかしそこは必ずピンキリどちらも用意しているのが中国。ふらりと入った店がそういう店だった、ということもあります。ただできれば調理法の知識に加えて店員とやり取りしなければならないことがたくさんあるので、コミュニケーションに自信がない人は誰か中国語のできる人に一緒に付いていってもらいましょう。
さて店に入ってテーブルに着き、服務員がテーブルの人数を確認したら「ウチは材料を見ながらオーダーを取るから1階に行きな」とか言われます。言われた通り1階に行くと、そこにはずらりと食材が並んでいます。
それらはカテゴリ別に分けられていて、店によっても違いますが、だいたい野菜コーナー、肉類コーナー、魚介類コーナー、その他コーナーというところです。その他コーナーには今日あなたがハメたい日本人は連れて行かないようにしましょう。帰るときに「さっきあなたがおいしいと言って食べていたのはアレよ」と指差す楽しみをとっておくためです。
それ以外にも冷菜コーナー、烤肉コーナー、点心コーナーなど厨師(料理人)によって異なるコーナーもあって、さながら食材の一大見本市の様相を呈しています。
さていつの間にか注文を取る服務員があなたの側に付いているはずです。あなたは彼女に相談し、自分の好みを伝え、あるときは議論しながらオーダーを入れていく必要があります。
しかしこういう店で注文するときはあくまで料理は材料が命だということを忘れずに、あらかじめ「これが食べたい」というものをどれだけ少なくしておくか、という心構えが大切です。フラットな気持ちでまずはひと通り材料を見て歩きましょう。
例えば海鮮コーナーですが、熱帯魚専門のペットショップさながらに数えきれないほど多くの水槽に入った海鮮などの食材を見て歩くと、一応生きて泳いではいるもののあきらかに元気を失った魚が寂しげに一匹だけいるというものもあるでしょう。
元気がないこともさることながら、そもそも数が少ないものは選べない上に入荷してから日数が経っている可能性があります。服務員に(騙されないように)尋ねてなるべくそういうものは避けましょう。え?わざとそういうものを狙って価格交渉する?あなたは上級者ですので、私ごときが申し上げることは何もありません。
さて、ぐるりとひと回りしていくつか食材候補が決まったら、順番に調理方法を検討しましょう。名人級になると食材を選んだ瞬間に「これはこうして食べて、あれはこうやって・・・」と今日の献立全体の流れまで見えるようですが、普通はそこまでの知識も経験もセンスもありません。
このときやはり優先順位の高い食材や調理方法が限定的な食材から調理方法を決めていくことをお勧めします。調理方法がかぶってしまうのは中華料理では悲しいことです。ですから、食べたい食材から順に、最適な調理方法と組み合わせていきます。
例えばあなたがひと回りして一番おいしそうだったのがアワビだとしましょう。
アワビは中国でも高級食材ですが、生(干していない)の小振りなモノはそんなに高くありません。見るとこれが大きなたらいの中にどっさり入っています。聞けば「今日入荷したばかりです」。食べるしかありませんね。
他の食材との兼ね合いもありますが、アワビには多くの調理法があります。他の料理を先に決めてかぶっていない調理法を選択する方法もありますが、あなたはこれが本日のメインだ!と考えれば、アワビには最高の調理法を与えることにしましょう。
今日の私の気分ならばニンニクとネギを利かせて蒸すか、豆鼓を用いるかですが、前者なら塩を強くしろとか後者なら豆鼓が好きだから多めに使えとか指示することができます。
さらにそこに粉絲(春雨のようなもの)を載せてアワビから出てくる旨味を吸わせるのもいいかなと思えば、ネギもアサツキのみじん切りじゃなくて長ネギをこう、シラガネギにしてよと細かく指示することができます。
または生のまま薄くスライスして刺身にしてもいいし、炒めてもいい。またはスープの具にしてもいい。そういえばさっきうまそうな蟹がいたからアレの蟹肉と蟹みそを使って一緒に炒めて豪華な料理(席家花園の名物料理)にしてやろうか・・・悩みますね。
そんな風にすべての料理を決めていくのは「面倒で」「大変な」作業ですが、やがて並べられた料理にみんなが「おいしい!」と言ってくれるなら、苦労した甲斐もあるというものです。
でもそうなるためには普段から中華料理を勉強しなきゃね、ということでグルメな中国人(なぜか圧倒的に男が多い)と一緒に食事をする機会は、私にとって材料と調理法の両方を勉強する場でもあるのです。
Tobermory さん
オイラ。。。いまだにメニューは四文字熟語の羅列です(; ̄ー ̄A
アワビ・とこぶし・ホタテは、ここで紹介された食べ方が、オイラも気に入ってます。商社・銀行の方と中華に入ると。。関心しちゃいますが
Tobermory さんも。。。w(。'(o)'。)w 才ォ-達人って感じですね。
by くま (2005-07-25 20:09)
さすがくまさん。アワビ、トコブシ・・・をご存知でしたか。中国では地域や下手すると店によっても名前が違うし、日本で言うところのものと同じ種類のものなのかわからなかったので、ここでは「小振りなアワビ」と書きました。よく見かける字は「鮑」ですよね。なお私はまだまだですが、注文の上手な方と一緒に食事をするのは楽しいものですね。
by Tobermory (2005-07-25 23:56)
このような魚注文は未経験ですし、
魚介類の注文は何であれ苦手。
行った先々のお店の菜単をコピーして帰りたいといつも思ってます。
まして注文となると・・・
ですから、こういう注文風景のDVDがあれば、太太を含めた駐在員の間で相当な需要があるかもしれないと密かに考えています。
Tobermoryさん、いかがでしょうか?本人出演ということで・・・(^^)
by あおい (2005-07-26 10:02)
力作揃いでまだTobermoryさんの他ブログまだ読破できてません(焦)。久しぶりにこんなスタイルのレストランに行きたくなったな~。北京では「万龍洲海鮮大酒店」がお気に入りです。
by param (2005-07-27 18:27)
>ただいま、あおいさま。慌ただしい日本出張から帰ってきました。さて「菜単をコピーしたい」は私も同様です。でも店によって名前が違うので、おいしかった料理の名前を同席している中国人に書いてもらうことにしています。これなら他の店に行っても通じますから。DVD出演は勘弁してください(笑)。
>paramさん、こんばんは。paramさんは中国滞在歴が長いのできっとおやりになるでしょうね。一度お食事でもご一緒にいかがですか(笑)。みてみたい。
by Tobermory (2005-07-29 00:10)