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上海の夏は電力制限の夏

 そろそろ5月も終わりに近づき、またあのクソ暑い上海の夏が近づいてきました。ただでさえ後頭部がハゲそうなくらいの灼熱の太陽が毎日毎日ギラギラと照りつけてイライラするのに、駐在2年目くらいの日本人工場関係者が震え上がって「お願いだ、帰国させてくれー!」と泣き叫ぶあの夏です。ちなみに1年生にはその恐怖が分からず、3年生以上はこの時期にはもう身体を鍛え終わっていなければなりません。

 最近私と同じようにこちらで工場を操業している方たちと会いましたが、事情を知らない人にとってその会話は謎に充ち満ちています。
「そろそろ、ですか。」
「ええ、そろそろですね。」
「どうですか。」
「実は、昨年末には工場をひとつ建て増したんです。」
「ええ!?それはたいへんですね!」
 何がたいへんなのかお話ししましょう。

 中国は長いことその抱える人口のワリにはエネルギー消費量は抑えられていました。ここ数年の急激な経済発展に伴い、エネルギー需要が飛躍的に増え、供給が追いつかない状態です。
 上海では電力消費量がピークに達する夏場を中心に電力使用制限があることはご存知かと思います。これがやられた方は最悪で、まず電力会社から「オマエのところは月曜日と火曜日は電気を使ってはいけない。でもオレはやさしいから代わりに土曜日と日曜日に電気を使ってもいいよ」とか言われます。これを中国では市場経済と言うそうですが、理解不能です。

 とにかく会社としては工場を動かすために土、日を出勤日にして代わりに月、火を休みにするしかありません。でも営業部が月、火に休んでいてはお話しにならないから、工場以外は今まで通りにするか、と。
 するとまず土、日に休めなくなった工場の従業員はブーブー言うし、工場との連携がうまくいかなくなった購買の材料仕入れが多かったり少なかったり間に合わなかったり。営業や総務が納期その他で大至急工場と連絡とりたくても、「そう言えば、あいつら月曜日は休みだったよ」。orz...
 ・・・かくして幹部連中は休みなし、電気なし、トラブル満載の長期トップギアモードサバイバルレースに入り、みんなが冷房を使わなくなって、電力に少し余裕ができ、上海の美しいプラタナスの並木道が枯れ葉を散らす頃、ぽっくり逝く人が出ます。もちろんレース中にリタイアする人は無数にいますが、死して屍拾う者なし。

 「そんなのこっそり操業しちゃえばいいじゃん」と考えた方、アタマいい!実際アタマに来てやっちゃったところもあります。バレないように真夏の昼間に扉閉めて、窓閉めて、カーテンも閉めて。中はすごく息苦しいそうです。あっはっは。ちなみにバレたところも知っていますが、電力会社の担当者にブレーカーを封印されて、下手するとアンペア量も下げられます。そうすると今度は中国得意の担当者に賄賂作戦だ、メシだ、酒だ、現金だ・・・どんどん深みにハマっていき、気がつけば立派な中国人になっていますので気をつけましょう。

 ちなみに私のところは今年の夏も月~金操業、土、日は休みです。工場の電力使用量が少ないこともありますが、中国で何より大事な財産はカネの次にコネです。えへへ。みんなゴメンね。


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sanbonmatsu

はじめまして。
ほんと漢民族の常識って理解できないことが沢山あります。
あちらこちらで喧嘩はやっているし、すぐタ○は吐くし・・・。
でも、そう言っておきながら上海も行ってみたいところです。
by sanbonmatsu (2005-05-27 23:31) 

Tobermory

sanbonmatsuさん、初めまして。sanbonmatsuさんご自身が述べられている通り、食文化も常識も国や社会の数だけあるように思います。生まれ育った社会に染まるのは人間の性です。ただ日本人は多様な中国社会を想像できず、中国人は洗練された日本社会を想像できないでしょう。また00年代の上海はエネルギッシュな街と記憶されることでしょうから、ぜひ近いうちに訪れてみてください。
by Tobermory (2005-05-28 01:54) 

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