SSブログ

家常菜(家庭料理)を食べよう!

 五個菜一個湯というのは中華料理の基本オーダーです。四個菜一個湯とも聞いたことがあります。ようするに菜(料理)を4品か5品頼んだら、次は湯(スープ)を1品ですよ。という意味です。これはその辺の中華料理屋で出される家常菜(家庭料理)であっても同じようです。

 中国人はさすが美食の国の人だけあって、注文に非常に時間をかけます。フランス人も長々と時間をかけてオーダーしますが、彼らの食べ物にかける情熱は本当にすごいものです。だからその情熱をちょっとは仕事に振り向けてみろよ。

 冷菜(涼菜)からオーダーする本格的な食事の場合は言わずもがな、ちょっとそこらで一時間の昼食を摂る場合でもじっくり時間をかけてメニューを検討します。もちろん店員の方もせかすような真似はしません。それどころか注文を取る店員は今日店が仕入れた材料をしっかり頭の中に入れており、その上で客の相談係を兼ねるのです。ここではその家常菜を出すようなローカルレストラン(中級)でのオーダーを考えてみましょう。

 客がテーブルに座るとやがて店員がメニューを持ってきます。ま、そこで誰が注文するかということでひと悶着(この場合は互いに遠慮し合う)あったりしますが、だいたいホストかホストが指名した人がオーダーを取る店員とこの作業に没頭します。その間他の客は別の店員が注いでくれるお茶を飲みながらタバコを配りあって談笑しながら待ちます。

 「この店はなにか特色菜(特別メニュー)があるの?」
 「ウチは海鮮の種類が豊富ですよ。あとは家常菜がおいしいと評判です。」
 「じゃあ、海鮮はこれとこれ。」
 「これは清蒸でいいですか?こっちはどうやって料理しますか?」
 「・・・それでいいよ。あと肉も食べたいな。」
 「何の肉にしますか?」
 「やっぱり猪肉(豚肉)かなあ・・・」とまあ、こんなカンジで進んでいきます。

 しかも店員は店員で自分の意見をはっきり持っていますから、変なオーダーをしようものならこちらの注文に文句をつけてきます。
 「豚肉を2品頼んでいますよ。どちらか鶏肉にしてはどうですか?」
 「清炒(シンプルな炒め方)がダブってますよ。」
 「すっぽん料理にご飯が使われていますから、炒飯はやめて点心にしてはどうですか?」とまあ、こう書くと結構うるさいですね。

 例えば5人で昼食のテーブルを囲み、「涼菜はいらないよ」として今日の私の気分で上海で食べる一般的な家庭料理5品ならば、
 『雪菜墨魚(イカと高菜の炒め物)』
 『紅焼肉(皮付き豚肉の醤油煮込み)』
 『番茄炒蛋(トマトとたまごの炒め物)』
 『豆鼓扇貝王(ホタテの豆鼓蒸し)』・・・これは家常菜ではないけど一品くらい高級なものを食べよう。
 『清炒巻芯菜(キャベツのニンニク炒め)』といきましょう。
 これなら肉が1品、海鮮2品、野菜2品と考えられ、さらに調理法で見ると炒め物3品に煮込み料理が1品、蒸し料理が1品ととれます。これになにかご飯か餃子か麺をつければ質量ともに文句はないでしょう。欲しい人は『白米飯(白いご飯)』を頼むことにしましょう。

 しかし店員はここでおそらく言うでしょう。「湯(スープ)は?」
 これに足りない料理があるとすればスープです。広東省あたりだとスープから料理が始まると言われるくらいスープなしではお話しになりません。上海では別にスープなしでも問題ありませんが、頼んだ方がぐっとテーブルが締まります。『酸辣湯(ピリ辛の酢のスープ)』でも頼んでおきましょうか。安いし。

 これで店員に「差不多了吧(もういいだろ)?」と尋ねれば、人数と頼んだ料理の量があっていれば「そうですね」とかなんとか言って「飲み物はどうしますか?」と次のステップに進むはずです。

 お昼だけど午前中の仕事はうまく行ったし、代理店の社長がいるから最初にちょっとビールを飲んで、あとはお茶をもらおう。おっと酒が飲めないAさんがいたな。「Aさん、なにか飲みたいものありますか?コーラでいいですか?」と尋ねて、やっと注文は終了です。ちなみに中国人がコーラを飲みながら食事をすることは珍しくも何ともありません。

 店員は不要なグラスを片付けたりして、注文を終えたこちらはやっとお絞りで手を拭きながら談笑の輪に入っていきます。後は料理が来るのを待ちましょう。ちなみに上で私が頼んだ料理は当然店によっても違いますが、飲み物込みで全部で150元(2,000円)くらいでしょう。それでもちょっと高級な部類でしょうね。


nice!(5)  コメント(6)  トラックバック(1) 

nice! 5

コメント 6

sanbonmatsu

一口に中華料理と言っても地域によって随分違うようですね。
西安で食べた家庭料理(田舎料理)は日本の普通の料理に似ていて(あっさりしていて)とても美味しかったです。
唯一、中華料理の難点は大人数で行かないと色々な物が食べられないことかな?少ない人数で行っても沢山の種類を食べる方法ってあるのでしょうか?
by sanbonmatsu (2005-06-20 21:39) 

Tobermory

さすが、鋭いところをついてらっしゃいますね。少人数で食べる中華料理は中国人も楽しくないと言います。彼らがひとりで食べるときは麺やご飯の上になんかおかずが載ったようなものをよく食べていますね。少人数で行くときは高級店でしか見ることができませんが、めいめいの皿に料理が盛られて出てくるフレンチスタイルの店がいいと思います。ほかは北京ダックやフカヒレスープのようなメインの一品だけが目的の店とかですかね。
また私が上で紹介した料理は普通、上海菜と呼ばれるもので、上海から蘇州、無錫、杭州、寧波あたりまで似たような料理を食べることができます。厳密に言えばさらに細分化されるようです。
by Tobermory (2005-06-20 21:57) 

あおい

そうですね、服務員はけっこうモノをいいますよね。
食に対しては相当「こだわり」があるのでしょう。
私は「点菜」がすごく苦手で、いつもどうしたらよいのか困ってしまいます。
(特に、アテンドなどで支払いが自分ではない時)
何事も練習でしょうが、菜単が一人にしか渡らないのは、こちらのシステムとはいえ、勉強にならないんですよね~
今回、Tobermoryさんのメニューをメモして、次回挑戦してみます。
by あおい (2005-06-21 09:57) 

param

上海っぽいお料理がずらーり。美味しそうですね。上海料理は北方に比べると小さいお皿で出てきますよね。東北へ行った時に量の多さに閉口したことがあります。それにしてもこちらの服務員さんって食器を電光石火の早業で片付けませんか?
by param (2005-06-21 10:29) 

くま

オイラは、頼むのがとても苦手です。勉強になりました。
兎に角。。。魚が苦手で(; ̄ー ̄A行く度に、オイラは魚が嫌いです。って言ってます。未だに、4文字熟語のメニューが理解出来ないので。。。あてずっぽのロシアンルーレット注文です。だから、どうしても多目の注文^^;
混んでる店の場合は、周りを見渡して、あれとあれと。。。って、めっちゃ行儀が悪かったりして。。。(でも、間違いないもので。。。つい。。。)
by くま (2005-06-21 13:45) 

Tobermory

>あおいさん、今考えるとこれは結構な腹ぺこバージョンですよ(笑)。『雪菜墨魚』『番茄炒蛋』『豆鼓扇貝王』あたりはお皿の下に溜まってるス-プを白いご飯の上にかけて食べると、おいしいですね。

>paramさん、確かに東北は安くて量が多いですね。私は上海が普通サイズだと思っていたので、いつもの通り、人数=料理数で注文したらとても食べ切れたものではありませんでした。

>くまさん、私も魚がニガテです。特に上海辺りだと普通魚と言えば淡水魚がでてきますから、おいしい海の魚に慣れた日本人には×ですね。また私も初めてのお店では「アレ食べたい」攻撃をやります。同じメニューでも店によっては全然違うものが出てきたりしますからね。
by Tobermory (2005-06-21 22:53) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

日中の報道メディア上海忘れがたく ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。