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クルマの助手席

 中国人が一人でタクシーに乗るときにはほとんどの人が助手席に座ります。

 助手席に座る理由は見晴らしがいいから?道を知らない運転手に指示しやすいから?人によっていろいろ言いますが、いつもの如くあまり考えていないだけだと思います。
 もっとも中国人は日本人と異なり、一番格上の人が助手席に座ることがあります。さすがにある程度以上大きな会社のトップなどはそういうことをせず、だんだん減ってきてはいるようですが、今でもローカル色の濃い中小企業や大企業であっても営業所レベルではそういう座り方をしているのを見ることがあります。

 ところがタクシーの助手席というのは、ある程度以上身体の大きな人にとってさほど快適な席ではありません。特に上海市内を走るタクシーは『サンタナ2000』という小型車がタクシーの主流である上に、暴漢から運転手を守るために側面から後背面にかけて分厚い透明プラスチックの防護カバーが覆っていて、しかもシフトレバーが真ん中にあるため、助手席はかなり圧迫感があるのです。
 したがってみんな少しでも圧迫感を和らげるために助手席の椅子を目一杯後ろに下げて、スペースを広くしようとします。

 そんなタクシーに今度は日本人である私たちが乗り込みます。私たちは普通後部座席、それもドアに近い助手席の後ろの席に座りますが、みんなが助手席に座った結果、その席は非常に窮屈な状態になっています。
 特に個人的な理由から言わせてもらうと私は身長が181cmあるので非常に困るのです。ただでさえ大股開きで膝を動かすこともできないのに、前がこんなに狭くてはつま先が前の助手席の下に入り込んだり、ひどいときには靴の裏と裏を合わせてまるでヨガです。

 中国でこんな目に合うのは日常茶飯事ですが、乗り込んでから気づいたところで運転手も防護カバーのせいで助手席のシートを前後に動かすレバーまで手が届きませんから、基本的に我慢するしかありません。長い距離を移動するときにはあらかじめシートの位置を確認して、最適な位置にしておく必要があります。

 そんな苦労をしているのならオマエも助手席に座ったらどうだと言われることもありますが、それだけはゴメンです。
 中国に来たことがある方ならお分かりだと思いますが、この国の交通事情は最悪の部類です。特にクルマの交通マナーが悪く、加えて歩行者も自転車も交通ルールを守りません。
 当然事故も多く、中国全土で毎年12万とも13万とも言われる人が交通事故で亡くなっています。毎年地方中堅都市が一個消滅している、あるいは毎日一機ずつ300人乗りの飛行機が落ちているようなものですね。

 私がこちらに来たばかりの頃、上海郊外にある中国企業のトップと知り合う機会を得ました。とても感じのいい方で話も弾み、翌週再会することを約して別れました。
 しかし彼はその数日後に亡くなりました。クルマに乗っていての交通事故でした。後にそのクルマには四人乗っていたが亡くなったのは彼一人だったということを聞いて、きっと彼は助手席に座っていたのだろうと想像しました。


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くま

この気持ち。。。ものすごくよく分ります。
オイラは、Tobermory さんより、もうひとまわり大きい187ですので。。。
狭い時は面倒ですが、運転手の後ろに移動します。(きっと、左に傾いてますね)
こっちの人が、助手席に座りたいのは、オイラが子供の頃に、バス電車の最前席、車の助手席に座りたかったのと同じと思うので、Tobermory さんの仰るとおり、単に景色が良いって事だと思います。うちのスタッフも、序列が出来つつあります。オイラは、運転席の後ろが指定席です。
by くま (2005-06-18 23:08) 

sanbonmatsu

> 新規作成の時はデフォルトで「下書き」設定にしてほしいですよね。
昨日書いたこの意味は、私もよく間違えて「公開」にしてしまったことがあって、ソネットさんに改善して欲しいと思って書いたのですが、設定の項目を見たら「下書き」設定できるのですね。私の早とちりでした。<(_ _)>
で本題。あんな運転でよく事故を起こさないなーと思っていたら毎年12万~13万人も亡くなっていたのですね。車の普及率から考えるとすごい割合ですね。
by sanbonmatsu (2005-06-19 08:07) 

チャイママ

最近めっきり中国人化している私は よく助手席に座ります。(一人の時は座りません)                                          昨年の今頃 なんで交通事故に遭わないんだ?いつか事故に遭って死ぬ。
こんな運転事情なら 死ぬときゃ死ぬ!事故に遭うのも私の運命、こうして中国で生活する事になったみたいに、、、って開き直ってしまいました。
でも、出来るなら事故には遭いたくないとシッカリ シートベルトは忘れずに着けてます。どんなに綺麗な洋服を着ていても、はい。(ベルトの跡が付きます)
もちろん手に汗かき、右足オモイッキリ アクセル踏み倒してますけど( ̄ー ̄;)
by チャイママ (2005-06-19 10:35) 

Tobermory

>くまさん、その身長では中国ではだいぶ困るでしょうね。私もベッドから足ははみ出すし、マッサージや美容院で髪を洗ってもらう時も身体のどこかがぶつかるしで、とてもリラックスできません。

>sanbonmatsuさん、私はsanbonmatsuさんのコメントを読んで「あー、できるんだー」と気づきました(笑)。勘違いとは言え面白いものですね。中国の交通マナー向上は今いろいろと取り組みが始まっていますが、実を結ぶのは当分先と言う気がします。

>チャイママさん、ひとりの時に助手席に座らない、座る時にはシートベルトをするというのは良い心がけだと思います。残される人のことを考えて、少しでも事故に遭う確率を下げてください。なんせ命に関わることですからね。私は危ない運転をするタクシーに乗ってしまった時は、「ゆっくりでいいから事故だけは避けてくれ」と言うようにしています。
by Tobermory (2005-06-19 12:45) 

かおり

私も杭州でタクシーに乗ったとき、みんなが助手席に乗っているので、
そうゆうものだと思って私も助手席に乗っていました。
後ろに乗っても良かったんですね。
運転手さんに行きたい場所をガイドブックを見せて説明するときに、
運転席さんとの間にあるプラスチックの壁は、
ちょっと邪魔だったんですけどね。

アジア圏の車の運転は、道路がちゃんと整備されていないせいもあり、
車線というものもなかったりするため、本当にめちゃくちゃで、
よくこれで事故らず、みんな運転うまいなあと感心していたのですが、
やっぱり事故はたくさん起きているんですね。
私が今まで行った中ではベトナムがいちばんすごかったです。
5秒に1回ぐらいクラクション鳴らしてました。
そういえば、セブ島では私たちの乗っている車のカーブミラーが、
トラックの車体と接触したなあ。
by かおり (2005-06-19 13:03) 

Tobermory

かおりさん、こんにちは。さすがお茶を求めていろいろなところに行ってらっしゃる(笑)。でも中国に限らず交通事故はやはり危ない運転が幅を利かせている地域でより多く起きていると思います。私は日本で30年以上見たことがなかった交通事故死を中国では何度も見たことがあります。気を付けて自己防衛してくださいね。
by Tobermory (2005-06-19 13:55) 

param

こんにちは!以前サンタナ(古い型)タクシー助手席に座っていて、ワゴンタクシーに横から突っ込んだ経験ありです(怖)。ワゴンタクシーがクルクルと回転していく様がスローモーションのように見えました。ワゴンタクシーはグシャ~っとなり、サンタナ前方は滅茶苦茶になりましたが、幸い全員無事でした。今思い出してもぞっとします。
by param (2005-06-20 12:22) 

Tobermory

paramさん、こんにちは。とにかく全員無事で何よりでした。現代社会では交通事故は避け難いものがありますが、一人一人の工夫で少しでも減らすことはできると思うんですよね。まず第一に危険な運転はやめたいものです。
by Tobermory (2005-06-20 20:26) 

rinda

助手席はほんとうに怖いです~。いや、中国の交通事情が恐ろしい・・。
まだ、遭遇したことはありませんが、明日はわが身ですね。
防ぎようが無いのかなぁ。
by rinda (2005-06-20 21:02) 

Tobermory

rindaさん、こんばんは。やはり日本人にとっては中国の交通事情と交通マナーが恐ろしいですね。それに加えて赤信号でもクルマが右折オッケーなので、たとえ信号が緑で横断歩道を歩いていても安心して渡れない理由です。中国だからこそ日本のように赤信号は全方向進入禁止にして欲しいですね。
by Tobermory (2005-06-20 21:14) 

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